グローバル人材育成の総合ソリューションパートナー 株式会社アルクエデュケーション

セミナーレポート
獨協医科大学「医学部における英語教育とe-learningの活用事例」

2020年12月16日、「大学のグローバル化 情報交換セミナー Vol. 27」がオンラインで開催されました。 このセミナーは英語教育やグローバル人材育成に携わる方々、またそれらにご関心の高い大学関係者の方々を対象に、アルク主催で行っているものです。

27回目となる今回は「医学部における英語教育とe-learningの活用事例」と題し、獨協医科大学の坂本洋子先生にご講演いただきました。当日の模様をレポートします。



講演者:坂本洋子 先生
獨協医科大学 語学・人文教育部門 講師

アルクのeラーニング教材を活用した反転授業

栃木県壬生町に位置する獨協医科大学。「学問を通じての人間形成」を建学の精神に掲げる同大学では、英語教育に力を入れており、通常の授業はもちろんのこと、海外研修や国際機関におけるインターンシップ、海外からの学生・研究者の受け入れなどさまざまな施策を行っています。

講演では、坂本洋子先生が担当する1年次の必修科目「医学英語I」の内容について詳しく紹介されました。この授業では、ALCのeラーニング教材「ALC NetAcademy NEXT 医学・医療英語コース」を事前学習として活用する反転授業が行われています。「この教材では、患者さんとの医療面接に使える表現や、医学分野の文書に目を通すコツ、医学用語など、実践的な知識とスキルを身につけることができます。長年、医学用語を第一線で教えられている先生方が監修されているので、医学英語教材としてとても信頼できます」と、坂本先生は話します。

コースは、「リスニング」「リーディング」「ボキャブラリー」の3つのサブコースに分かれています。リスニングでは、医師と患者が医療面接をしている動画を確認したのち、ステップごとに語彙ドリルやスピードリスニング、ディクテーション、ロールプレイなどを行います。リーディングでは、ユニットごとに一つの文章を扱い、スキミングや主語動詞トレーニング(主語に対応する動詞を探す)などを通じて効率的に英文を読むコツを身につけます。ボキャブラリーでは、フラッシュカードで語彙の意味を確認した後、複数のステップを踏んでつづりと意味をしっかりと定着させます。

対面授業はアウトプットが中心

これらの事前学習を踏まえた対面授業は、アウトプットが中心。まずは医療面接のロールプレイをペアで行い、次にリーディングの文章についてのグループディスカッション、最後に口頭練習とクイズ形式でボキャブラリーを確認する、という流れになっています。

このほか、医学に関する時事ニュースやCase(症例報告)、TED Talkなども教材として活用しているそうです。「アルクの教材がとても充実していて効率よく事前学習ができるので、対面授業では時事ニュースなど、学生の興味や必要にあった教材を組み合わせることが可能になっています」と、坂本先生は話します。


コロナ禍では、獨協医科大学も遠隔授業に切り替わりました。「数年前からeラーニングを導入していたので、遠隔授業にスムーズに移行できました」と、坂本先生。学生たちの不安を少しでも解消できるよう、ポジティブな声かけを含んだスライドを作成するなどの工夫を行ったそうです。学生たちからは、「なかなか外出できず不安な中で学習していたが、アルクの教材はログインすれば自然と授業が進んでいくので、シンプルでよかった」との声が聞かれたといいます。

「コロナ禍以前から、本学の医学生は英語を学ぶ意識が高いと感じていましたが、ウィズコロナ時代においてはその意識がいっそう高まったようです。未知の感染症に対処するためには、英語での情報収集や発信、外国人患者の治療に対応する必要性を、報道から読み取ってくれていたことが一因だと思います」と坂本先生が締めくくり、講演が終了しました。

Q&Aセッション〜評価方法や英語力向上の度合いなど

講演後は2回に分けてQ&Aセッションが設けられ、参加者の方々から多くの質問が寄せられました。それらの一部を抜粋し、一問一答形式でご紹介します。

Q. 対面授業でのディスカッションは、英語と日本語のどちらで行うのか。
坂本先生:まずは英語で話すようにしているが、さらに深い議論を行うために日本語で話し合う時間も作っている。
Q. 評価はどのように行っているか。
坂本先生:アルク教材の学習状況と、授業態度、筆記試験の点数で総合的に評価している。スピーキングに関しては、授業中に各テーブルを見て回り評価している。
Q. 1年次から卒業前までで、どの程度英語力が向上するか。
坂本先生:入学時と1年修了時を比較すると、TOEFLで半数以上の学生のスコアが上昇している。2年次以降はより医学英語に重きを置くこともあって、上昇の幅は緩やかになる。
Q. 医学生は専門課程の勉強が忙しく、英語学習に割ける時間が限られていると思うが、どんな工夫をしているか。
坂本先生:必要なことを効率よく、優先順位をつけて教えている。また、受験勉強で詰め込み学習になりがちだった学生もいるので、1年次には「英語で話せて楽しい」という体験をしてもらえるよう心がけている。
Q. 数あるeラーニング教材の中で、アルクのものを選んだ最大のポイントは。
坂本先生:医学英語を長年、第一線で教えてこられた先生方が監修していること。臨床の現場の様子を知った上で教材を作ってくださっているのが、大きなポイントの一つだった。教材は英語教育のノウハウに沿っていて、学習を続けるうちに自然と英語力が伸びていくつくりになっていると感じた。

教材デモと事例紹介

最後に、アルク担当者より「ALC NetAcademy NEXT 医学・医療英語コース」の内容が、実際に画面を動かしながら紹介されました。また、導入事例として、都内の大学病院や東海地域の医療系大学の例などが紹介され、セミナーが終了しました。

取材・文:いしもとあやこ

Contact

[東京本社]

〒102-0073 東京都千代田区九段北4-2-6 市ヶ谷ビル



ページトップへ
ページトップへ