書籍事例紹介
『キクタン TOEIC® L&R テストSCORE 800』大学における授業での活用

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教授　田村　章 先生
金城学院大学　文学部英語英米文化学科

金城学院大学文学部英語英米文化学科では、TOEIC® L&Rテストの受験を各学年で2回ずつ、卒業までに計8回、学生に義務づけています。TOEICの指導は、4年間必修の「Business Communication(1)～(8)」という科目でおもに実施していますが、私が担当している1年生対象の「基礎演習(1)(2)」でも、TOEICの指導を一部取り入れています。この科目では、英語学習法やレポートの書き方、プレゼンの仕方など学科でのスタディー・スキルズに関する教育がおもな内容ですが、1クラスが16～20名程度という少人数であることを生かして、細かな指導をおこなっており、そのなかにTOEICのための語彙力増強も含まれています。

TOEIC対策と語彙指導

そのために、2014年から『キクタン TOEIC® L&R テスト SCORE 800』を継続して採用しています。本学科に入学する学生のほとんどが、英語学習にきわめて積極的で、高い目標を持っています。「キクタンTOEIC」のシリーズには、SCORE 600, 800, 990と３種類ありますが、本学科１年生には「800」がぴったり合っており、無理なく語彙力を向上させています。１年生の『キクタン』の学習で培った語彙力をベースにして、毎年たくさんの学生が卒業までにTOEIC 800点台、900点台を実現しています。

「基礎演習(1)(2)」で、『キクタン』をどのように活用しているか、簡単にご紹介しておきましょう。基本的には自習教材としていますが、確実に学習してもらうために、１冊の内容を４分割し、年間４回の試験を実施しています。試験問題は次の二つのパターンで作成し、各25問、計50問です。年４回の試験のために200問を作成しました。

問題Ａ：次の英文の下線部の語句の意味として最も適当なものを、それぞれのあとの選択肢から選び、記号で答えなさい。

（問題例）Susie works in the personnel division of the company. (p.24)

あ：金融の　　　い：個人の　　　う：私的な　　　え：人事の

問題Ｂ：次の英文の（　　　）内に、英文の日本語の意味に合致するのに最も適当な語句を、それぞれのあとの選択肢から選び、記号で答えなさい。

（問題例）The bank offers secure（　　　）over the Internet. (p.24)

「その銀行はインターネット上での安全な取引を提供している。」

A: initiative B: legislation C: survey D: transactions

この試験は、成績評価よりも、学生自身がしっかり覚えたかを確認することが目的です。
そのため問題には『キクタン』の掲載ページを示し、復習しやすいようにしました。2020年度は、「間違った問題があればどれだったか」、「学習をどのように進めたか」について試験後に報告してもらいました。

本書の特長

私から見た本書の魅力について、次の３つを挙げておきたいと思います。

1. 単語・熟語のセレクションが秀逸 本書に収録されている語句は、"personnel"や"transaction"などビジネス関係のものだけではありません。英語を使う上で必須となる基本的な語句が数多く掲載されています。こうした語句を習得することで、学生はTOEIC対策のみならず、汎用性が高い語彙力を身につけることができます。このことが本書を継続的に採用している最大の理由です。
2. 学習計画を立てやすい構成 本書では、１日の学習単語・熟語数が16と定められています。これによって学生は学習計画を立てるのが容易になります。１日で50語を覚えるのはたいへんですが、16語であれば、やる気も湧いてくることでしょう。実際に多くの学生が、Day１、Day 2 それぞれの日ごとに定められた数の語句を計画的に学習しています。
3. 本書と音声コンテンツの効果的な連携 学生の学習方法で目立ったのは、アルクのアプリ「語学のオトモALCO」を用いてダウンロードした音声よる学習です。チャンツの軽快なリズムに乗って流れる正確な発音に耳を傾け、また自分でも発声することにより確実に習得しているようです。本書は、2020年３月に新しい書名になるとともに、スマホ等を用いて音声データの活用が容易にできるようになり、より使いやすくなりました。

『キクタンTOEIC』は、改訂のたびに魅力的になっています。本学科学生の英語力向上のために必要不可欠な一冊です。