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第18回:前置詞は意味が似ているものが多い?

子どもに聞かれて困らない英文法のキソ[子ども英語先生編]
2021/4/7up
子どもたちの疑問や質問の答えに窮したことはありませんか? 子どもたちに英文法を分かりやすく説明するのは、なかなか簡単ではありませんね。 ここでは、『まんがでわかる「have」の本』(アルク刊)の著者である大竹やすまさ先生に、子ども英語の先生に向けて、本書の中から新たに加筆いただいた内容で、分かりやすくご解説いただきます。

前置詞ってどうして『同じ意味』のものを使い分けなくちゃいけないの?

前置詞は動詞との組み合わせなどが難しいだけでなく、それ単体でも学習者を悩ませます。in と on などであれば、辞書に載っている日本語訳からその違いを理解することができますが、例えば about と around のようにどちらも「~の周り」という訳語が当てられていたりすると、一体何が違うんだと考えこんでしまいますよね。
私たちが普段から使っている日本語は英語を学ぶときにとても役に立ちますし、できる限り有効活用していきたいところなのですが、それでも難しいときもあります。やはりここでも語の「中心の意味」や「イメージ」を活用することによって日本語訳の壁を越える必要がありそうです。

先ほど例に挙げた about と around はどちらも「何かの周辺にある」という意味合いを共有していますが、 around のほうは「円を描くように」何かの周りをぐるっと回っていることを表します。

(A) Tom was walking about here and there.

(B) Tom was walking around here and there.

(C) Let's talk about the problem today.

(D) Let's talk around the problem today.

組み合わされる動詞にもよりますが、(A)と(B)はどちらも「トムがあちこち歩き回っていた」ことを表しているので、ここでは意味の違いはほとんどないと言っていいでしょう。しいて言うなら、そこら辺をうろうろしているか、ぐるっと一周しているかということです。イギリスでは(A)の表現のほうがよく使われるようですので、好みで使い分けてよさそうです。

しかし、(C)と(D)は好みの問題ではなく、意味がだいぶ異なることに注意が必要です。(C)は about の持つ「周辺」のイメージから、「その問題の周辺にあることを含めて」話をしようということを表しています。about がときに「~について」と訳されているのはこういう理屈があったのです。一方、(D)では around の「円を描く」イメージが強調されるため、その問題の周囲を回り続けて、本質にはたどり着かないことになります。そのため talk around は「~を避けて話をする」や「~について遠回しに話をする」といった意味を表すのです。

(E) The house stands between the trees.

(F) The house stands among the trees.

between と among も「~の間」という日本語が当てられているので、どちらを使うか迷ってしまうことがある前置詞の一つです。between は「2つのものの間」、among は「3つ以上のものの間」という説明でも大きな問題はないのですが、この違いが「数」ではなく「並び方」にあることを知っている方が英語の感覚に近づけるはずです。

between は「きちんと並んでいるものの間」を表すので、(E)の家はまっすぐ並んだ木の間に建っていることがわかります。もちろん木が何本あってもかまいません。大切なのは並び方で、まっすぐ並んでいるかどうかを示したいのです。(F)も家のすぐ横に木があることに変わりはありませんが、among は「ある集団の中にある」ことを表すので、木の並び方はごちゃごちゃしています。こちらは家が森の中にあるようなイメージですね。

歯の間を between my teeth と表現するのは当然のことで、歯が2本しかないのではなく、まっすぐ並んでいるからです。少し特殊な例ですが、a treaty between the three countries(3国間の条約)という言い方をするのは、各国の関係性がきっちりと対等に扱われていることを示すためでもあります。among のごちゃっとした感じではこれを表せません。

当たり前のことですが、日本語と英語は違う言語です。それゆえに1対1の関係で説明ができることはほとんどなく、今回のように一見すると「同じ意味を持つ語」がたくさん存在します。どれを使っても通じればいいじゃないかという楽観的な考え方もありますが、 英語によるコミュニケーションが重要視されている今だからこそ、その些細な違いが意志の疎通に大きな支障を生む可能性があることをよく考える必要があります。

英語を教える身としては説明に難しさを感じるときもありますが、そんなときはここで紹介したように語の「中心の意味」や「イメージ」から説明を組み立ててみてください。説明の準備は大変ですが、苦労したその分だけ生徒たちの英語の理解が深まるのは間違いありません。生徒たちの英語をどう伸ばすか。どうしたらもっと英語を好きになってもらえるか。私たちはいつだってここを大切にしていきたいですよね。

大竹保幹(おおたけ やすまさ)

神奈川県立多摩高等学校教諭

大竹保幹(おおたけ やすまさ) 先生

1984年、横浜市生まれ。明治大学文学部文学科卒業。平成23年度神奈川県優秀授業実践教員(第2部門)表彰。文部科学省委託事業英語教育推進リーダー。趣味は読書。好きな作家はスティーヴン・キング。著書に『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』、『まんがでわかる「have」の本』(アルク)。

まんがでわかる「have」の本

『まんがでわかる「have」の本』(アルク)

大竹保幹(おおたけ やすまさ)

大人になっても英語の苦手意識がなくならない人は必読! 基本動詞を軸に、文法をはじめとした「英語のしくみ」をまんがでのやさしい講義形式で学びます。

子どもに聞かれて困らない英文法のキソ

『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』(アルク)

大竹保幹(おおたけ やすまさ)

本書では、30パートの英文法の項目ごとに分かりやすい言葉で説明しています。冒頭にはクイズが用意されており、また雑学的な小話も盛り込まれているので、楽しみながら英文法を復習することができます。

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