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第15回:動詞の多義性を『イメージ』で理解する

子どもに聞かれて困らない英文法のキソ[子ども英語先生編]
2020/10/7up
子どもたちの疑問や質問の答えに窮したことはありませんか? 子どもたちに英文法を分かりやすく説明するのは、なかなか簡単ではありませんね。 ここでは、『まんがでわかる「have」の本』(アルク刊)の著者である大竹やすまさ先生に、子ども英語の先生に向けて、本書の中から新たに加筆いただいた内容で、分かりやすくご解説いただきます。

第15回:動詞の多義性を『イメージ』で理解する

「なんで同じ英単語に何個も違う意味があるの?」

生徒にこんなことを聞かれたら、みなさんならどのように答えますか? 英語は基本的な動詞であればあるほどたくさんの意味があります。例えば、ある語は英和辞典に次のような日本語訳が載っているのですが、これらすべての意味を表すことができる英単語は一体何でしょうか?

連れていく、案内する、運ぶ、進める、持ち込む、使う、みなす、つかむ、撮る、理解する...

正解はtakeです。英単語には日本語訳としてたくさんの意味が与えられているので、辞書を開くだけで「覚えるのが大変そう」という印象を与えてしまいそうですよね。では、このような多義語をどのように教えたら良いのでしょうか。今回のポイントは「イメージ」の活用です。

takeやhaveなどの「基本動詞」と言われている語は、英語を学び始めた段階で覚えることになる語ですが、こういった語に限ってたくさんの日本語訳が与えられているのはなぜでしょう。それは基本動詞が本来持っている意味のシンプルさゆえに、いろいろな文の中で使いやすいやすく、柔軟に意味が変化するからだと考えられます。
たくさんの日本語訳を持つtakeが使われている英文で考えてみましょう。

(A) Take your umbrella with you.(傘を持っていきなさいよ)

(B) I took a picture of him.(彼の写真を撮った)

(C) Let's take a bus to the airport.(空港までバスに乗っていきましょう)

日本語訳だけを見れば、takeという動詞が(A)「持っていく」、(B)「撮る」、(C)「乗る」と各文でまったく違う意味を表しているように感じますが、大切なのは英語話者にとってtakeは常に同じ動詞であるということです。

takeは「(手を出して)取る」ということを表す動詞です。これを基本として考えると、(A)はtake本来の意味のまま、(B)ではカメラなどの機器を使って被写体を選び取っているイメージ、(C)では複数の交通手段の中からバスを選び取っているように解釈することができますよね。このようにtakeは日本語訳としてはいろいろと変化している印象がありますが、英語としてはずっと同じ意味を表しているのです。

他の基本動詞であっても同じように「中心となる意味」から、与えられている日本語訳の多様さを説明することができます。

(D) I have a dog.(犬を飼っています)

(E) We had lunch together.(わたしたちは一緒にお昼を食べました)

(F) I have to study really hard.(頑張って勉強しないといけない)

haveは動詞としてだけでなく助動詞としての役割もあるので、基本動詞の中では特によく使われる語だと言っていいでしょう。それでもhaveは物などが自分の近くに存在している状態、日本語で表すのであれば「持っている」という意味を常に示しています。

(D)は自分の身の回りに犬がいることを表しているので、日本語であれば「飼っている」ことになるわけですし、(E)は自分の身体の中に食べ物が入り込んで存在しているから「食べる」と訳されています。(F)は助動詞として使われていますが、to study(勉強すること)を予定として持っている状態だと考えれば、「~しなくてはいけない」という状況を感じることができます。

つまり、英語の基本動詞に多義語がたくさんあるのではなく、動詞が使用される文脈によって日本語としての訳し方が変わっていたということなんです。だから、英単語に与えられている日本語訳のすべてを覚える必要はなく、その語が持つ「中心となる意味」から意味の広がりを想像することが大切だと言えますね。

生徒に多義語の覚え方を説明する際には、各語の「イメージ」を活用するのがおすすめです。各語の「中心となる意味」は、最近では「イメージ」としてイラストで表現されることが多くなってきました。イメージイラストがないときは「中心となる意味」や「一番よく使われる意味」から他の意味が生まれる過程を自分なりに想像することでこれを補うことができます。

そもそも多義語がどういうものかわかってくれないというときは、日本語の例を使ってみると良いでしょう。例えば「打つ」という動詞は、「ボールを打つ」「釘を打つ」という基本的な使い方から「心を打つ」「そばを打つ」「碁を打つ」「寝返りを打つ」「読点を打つ」のように、少し変化が加わった使い方がたくさんあります。日本語母語話者にとってはどれも同じような動きをしているように感じるかもしれませんが、これらの「打つ」を英語に変えたときすべて違う動詞で表されることになりますよね。

このような感じで「中心の意味」や「イメージ」から意味が広がる様子を一緒に追うことが生徒たちの単語の理解を深めていくのではないでしょうか。バラバラに覚えてきた語の意味を「イメージ」を使ってひとつにまとめることができれば、今まで以上に英語の世界がすっきりと見えてくるはずです。

大竹保幹(おおたけ やすまさ)

神奈川県立多摩高等学校教諭

大竹保幹(おおたけ やすまさ) 先生

1984年、横浜市生まれ。明治大学文学部文学科卒業。平成23年度神奈川県優秀授業実践教員(第2部門)表彰。文部科学省委託事業英語教育推進リーダー。趣味は読書。好きな作家はスティーヴン・キング。著書に『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』、『まんがでわかる「have」の本』(アルク)。

まんがでわかる「have」の本

『まんがでわかる「have」の本』(アルク)

大竹保幹(おおたけ やすまさ)

大人になっても英語の苦手意識がなくならない人は必読! 基本動詞を軸に、文法をはじめとした「英語のしくみ」をまんがでのやさしい講義形式で学びます。

子どもに聞かれて困らない英文法のキソ

『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』(アルク)

大竹保幹(おおたけ やすまさ)

本書では、30パートの英文法の項目ごとに分かりやすい言葉で説明しています。冒頭にはクイズが用意されており、また雑学的な小話も盛り込まれているので、楽しみながら英文法を復習することができます。

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