#2 リスニング力を伸ばす指導
#2 リスニング力を伸ばす指導

#2 リスニング力を伸ばす指導
どのように家庭でのリスニング学習を促すか
皆さん、こんにちは。木村達哉です。さて、今回はリスニングの指導について書きます。リスニングこそ、授業で週に数コマを指導しても量的にかなり不足しますので、"いかに家庭で聞き込むか"ということが重要な要素となります。言うなれば、学校ではリスニングの勉強法について生徒たちに説明をし、実際に勉強をするのは家庭でという流れをつくりたいものです。
指導上のTIPS
リスニングの指導を毎日授業で行う学校は少ないかもしれませんが、できることならば、日々の授業の最初に1題だけでも解いて、せめて2~3回は音読をしたいところです。しかし、それだけでは全く力は付きませんので、家庭学習が大切になるのです。
ただ「復習をしておきなさい」というだけでは、生徒たちはその復習方法が分からないはずですし、翌日のチェックがないと身が入らない生徒もいるかと思われます。"教科書をここまで進めなければならない"と先を急ぐ場合もあるでしょうが、本当にリスニング力を伸ばそうとするならば、授業でのこういった指導および復習の指示とチェックが必須となるのではないでしょうか。時間をやりくりして、リスニングの指導を習慣化させたいものです。
授業 *曜日ごとに5~10分程度 |
家庭学習 | ||
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月曜日 | 『ユメリス1』Unit1の問1 問題を解いた上でディクテーションを行い、音声(CDやアプリ)に合わせて数回音読する。所要時間は約10分。ここでは勉強法を主に伝え、家庭でさらに読み込んでくることを生徒たちに課す。 |
『ユメリス1』Unit1の問1の復習 学校で指導された通りに、まずはスクリプトを精読する。時制、数、呼応、前置詞、冠詞などの細部まで意識しながらしっかりと読み込む。その上で、日本語を英語に直す「バックトランスレーション」ができるまで音読を反復する。 |
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火曜日 | 『ユメリス1』Unit1の問2 まずは問1の家庭学習ができているかどうかをチェックする(バックトランスレーションを行う)。その上で問2へ。時間がかかりすぎる場合はディクテーションまで。家庭学習の指示は月曜日と同様。 |
『ユメリス1』Unit1の問2の復習 スクリプト精読→音声(CDやアプリ)に合わせて音読を反復→バックトランスレーション。この流れを習慣化させることが大切。 |
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水曜日 | 『ユメリス1』Unit2の問1 まずはUnit1の問2の家庭学習チェックからスタートする。チェックの習慣ができれば、家庭での音読活動も習慣となる。逆に、こういうチェックがないと家庭での音読習慣が形成されにくい。 |
『ユメリス1』Unit2の問1の復習 日々の授業の復習を必ず行うことが何よりも大切。特に、音声(CDやアプリ)に合わせて音読することが重要。 我流で音読をすると、英語特有のリズムが体に浸透せず、なかなかリスニングが得意にならない。 |
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木曜日 | 『ユメリス1』Unit2の問2 家庭学習チェックからスタート。バックトランスレーションを紙に書かせるのもいいが、ペアワークやグループワークなどを行いながら発音までチェックさせることも効果的。 |
『ユメリス1』Unit2の問2の復習 授業の復習を行う。バックトランスレーションをする前に必ず精読を行うこと。しっかりと意味を確認しながら行うことで、リスニングのみならずライティングやスピーキングの際につまらない文法や語法のミスをしなくなっていく。 |
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金曜日 | 『ユメリス1』Unit3の問1 前日の家庭学習チェックをしてもいいが、時間的に余裕があれば、この週全体の復習を行った方が効果的。月曜日から木曜日までの授業で扱った内容を、全てバックトランスレーションできるかチェックする。その後、Unit3の問1に取り組む。 |
『ユメリス1』Unit3の問1の復習 週末には、その週にトレーニングした英文を脳に刷り込むために総復習することが望ましい。定期考査前などにまとめてやろうとしても、せっかく取り組んだ内容を忘れてしまっていることが多い。授業で実施したUnit3の問1の復習も実施する。 |

木村達哉先生
灘中学校・高等学校教諭。学校での授業に加え、学習参考書やエッセーの執筆に励む。英語教師を育てる意図で「英語教師塾」を立ち上げ、全国の中学校・高等学校での講演の他、福島・沖縄の教育支援を目的に高校生向け勉強会を開催するなど、教育活動に精力的に取り組んでいる。「新ユメタン」シリーズ、「夢をかなえるリスニング ユメリス」シリーズ(いずれもアルク)など著書多数。最新刊に『キムタツの大学入試英語リスニング 合格の法則【基礎編】/【実践編】』(アルク)がある。
今回木村先生にご紹介いただいた教材はこちら
『夢をかなえるリスニング ユメリス0 CEFR A1レベル』(アルク)
大学入試に対応できるリスニングの基礎力を養いつつ、「使える」英語力も同時に高められるワークブック。問題を解いた後の復習では、音読を中心としたトレーニングを重ね、最後は英文スクリプトの一部を応用した英作文に挑戦します。リスニングの基礎を固めるのに最適な一冊です。
『夢をかなえるリスニング ユメリス1 CEFR A2レベル』(アルク)
大学入試に対応できるリスニングの基礎力を養いつつ、「使える」英語力も同時に高められるワークブック。『ユメリス』シリーズ共通のトレーニングで、音読・アウトプット活動にまで取り組み、生徒のリスニング力をCEFR A2レベルまで高めます。
『夢をかなえるリスニング ユメリス2 CEFR B1レベル』(アルク)
難関大学入試に対応できるリスニング力を養いつつ、「使える」英語力も同時に高められるワークブック。『ユメリス』シリーズ共通のトレーニングで、音読・アウトプット活動にまで取り組み、生徒のリスニング力をCEFR B1レベルまで高めます。
『夢をかなえるリスニング ユメリス3 CEFR B2レベル』(アルク)
最難関大学入試に対応できるリスニング力を養いつつ、「使える」英語力も同時に高められるワークブック。『ユメリス』シリーズ共通のトレーニングで、音読・アウトプット活動にまで取り組み、生徒のリスニング力をCEFR B2レベルまで高めます。