英語の先生応援サイトLearning Teachers' & Advisors' Forum

  •  
  • 初めての方へ

ライティングスキルのツールボックス

ライティングスキルのツールボックス
2019/12/20up

eメールやレポートを英文で書く機会は増えているのに、ライティングに自信がない、伸ばし方がわからないと悩んでいる方は意外に多いのではないでしょうか。
新連載「ライティングスキルのツールボックス」では全11回にわたり、スキルアップのコツをESACマスター・アドバイザーの玉木史惠さんにさまざまな角度からご紹介いただきます。


第八回 日本人学習者が直面する問題


日本人学習者が英語でライティングする場合、日本語の知識や和文ライティングのスキルが妨げになり、問題に直面することがあります。言葉は文化と密接に関係しているので、問題の背景には文化的な影響もあります。今回は、そのような問題を3つ取り上げて、その解決法を考えます。

1. 日本語を英語に直訳する


イメージ 『English Journal』(2019年5月号)に掲載されたレクチャーの中で、経営コンサルタントのロッシェル・カップ氏は、昼食会に欠席するというアメリカ人の社員に日本人の社長アシスタントが、「You must attend.(あなたは出席しなければなりません)」というEメールを送り、アメリカ人社員が侮辱されたように感じたために大きな問題になったという例を挙げています。mustを使った文を「命令」だと解釈したからです。日本語の「~しなければならない」が表わす意味と、英語のmustが表わす意味が同じではないことに問題の原因があります。

語彙や文法というlanguage form(言語のフォーム)に問題の原因がある場合は、Language Structures(言語構造)にフォーカスしたライティングを学習するといいでしょう。語彙や文法をテキストで学習し、文を書く練習をします。意味や使い方がわからない単語を辞書で調べる学習法も取り入れます。日本語と英語は1:1の関係でないことが理解できるようになります。


2. 和文ライティングの構成を英文ライティングで使う


和文ライティングで使われる展開・構成を英文ライティングで使うと、読み手に意味が伝わらないという問題が起こります。この問題に関しては、Kaplan(1966)のcontrastive rhetoric(対照修辞学)の研究が有名です。Kaplanは、英文が「直線的」な展開・構成で書かれるのに対し、Orientalライターは「スパイラル」な展開・構成を使い、要点を最後に書くと述べました。この研究には批判的な意見もあり、そのまま受け入れることはできませんが、読み手に意味が伝わらないという事態は避けなければなりません。

構成パターンを学ぶためには、Text Functions(テキストの機能)にフォーカスしたライティングを学習します。つながりやまとまりがあるパラグラフで、原因・結果などの機能を表す構成パターンに従ってテキストを書く練習をします。エッセイライティングをする学習者は、Introduction-Body-Conclusionで書く練習もするといいでしょう。


3. 行間を読ませるreader-responsible(責任は読み手)の書き方をする


イメージ 英文ライティングでは書き手が責任をもって意味を伝えるのに対し、和文では意味を理解する責任は読み手にあって、行間を読むように期待されます。意味を明確に伝えるために英文ライティングでは、signpost(標識)の役割をするdiscourse markers(談話標識)を頻繁に用います。discourse markersには、順番を表すfirst, nextや、つながりを表すhowever, on the other handなどがあります。一方、意味を汲み取る責任が読み手にある和文ライティングのテキストにはdiscourse markersが少なく、和文ライティングと同様にdiscourse markersをあまり用いずに英文ライティングすると、英文に慣れた読み手には意味の把握が難しいproduct(作品)になってしまいます。

この問題を解決するためには、discourse markersが使われたテキストを読み、その使い方を意識的に学び、それを使って実際に書く練習をするといいでしょう。

以上3つの他にも、英文ライティングを学ぶ日本人学習者が直面する問題はあるでしょう。どんな問題であれ、読み手を意識して、意味を正確に伝えるために妨げになる点は何か、その原因は何かを考えると解決法が発見でき、適切な学習法で学ぶことができます。

次回は、効果的な辞書の活用法についてです。お楽しみに!



バックナンバーはこちら

著者プロフィール


玉木史惠(たまきふみえ)
ESAC マスター・アドバイザー
テンプル大学大学院にて、英語教授法 (TESOL) の教育学修士号を取得。
英語科教員免許状と英語学習アドバイザー(マスター)の資格を持ち、英語学習法、TOEICをはじめとする各種試験対策、スピーキングとライティングを含むコースまで幅広く担当。都内の大学にて英語学習アドバイザーを務める。共著に『ネイティブ発想で学ぶ 英語の決定詞』(研究社)などがある。TOEIC L&テスト990点、英検1級。

  • 資格認定制度のご案内
  • 英語学習アドバイザーコース

アーカイブ素材検索

イベントカレンダー

 

 

求人情報【2020/1/14up】

      
  • 実践ワークショップ
  • アルク語学教育研究支援制度
  • アルク創立50周年特設サイト
  • 新ユメタンiosアプリ
  • 新着&更新コンテンツ
  • 英文法のキソ
  • 助けて!マスター・アドバイザー
  • ライティングスキルのツールボックス
  • アルクplus

ページ先頭へ